王谷晶の性別は?レズビアンを公表した注目作家のプロフィールと快挙
王谷晶さんは、レズビアンであることを公表している小説家です。
代表作『ババヤガの夜』はイギリスの名門文学賞「ダガー賞」翻訳部門を受賞し、日本人として初の快挙を成し遂げました。
「王谷晶 性別」と検索する人の多くは、彼女が男性なのか女性なのか、またどんな経歴を持ち、なぜ国際的に評価されているのかを知りたいと考えています。
この記事では、王谷晶さんの性別やプロフィール、受賞の意義、そして今後の展望について整理して紹介します。
- 王谷晶さんの性別と公表している性的指向
- プロフィールや作家としての経歴
- 『ババヤガの夜』ダガー賞受賞の意義
- 今後の活動や期待される展望
王谷晶の性別は?

王谷晶さんは「女性作家」であり、さらに「レズビアン」であることを公表しています。
ここで大切なのは、性別と恋愛対象の違いです。
性別は生物学的・社会的に定義されるもので、王谷さんは女性。
一方、性的指向は誰に恋愛感情や性愛を抱くかを指し、彼女の場合は女性を好きになる「レズビアン」であることを明かしています。
かつて彼女はゲームシナリオの仕事をしていた際、大手企業の飲み会で「ゲイやレズビアンなんてめったにいない」と発言する上役の姿に衝撃を受けました。
その場で「いるって言わないと、いないことにされる」と痛感し、自ら公表する決意を固めたといいます。
その姿勢は小説のテーマ選びにも通じています。
彼女が描くのは「女と女」の関係が中心であり、それを不自然に思わないのは、自身の感覚にとって最も自然だからです。
王谷晶のプロフィール

基本プロフィール
- 名前:王谷晶(おうや あきら)
- 生年月日:1981年生まれ
- 出身:東京都
- 職業:小説家、ゲームシナリオライターを経て文筆活動へ
- デビュー:2012年「猛獣使いと王子様」のノベライズ作品
- 2021年『ババヤガの夜』(文學界掲載)で注目を集める
- 代表作:
- 『ババヤガの夜』
- 『完璧じゃない、あたしたち』
- 短編「Same Sex, Different Day」「イエローチェリー・ブロッサム」「戯曲 グロい十人の女」など
- ジャンル:現代文学、フェミニズム小説、推理小説、SF要素を含む作品など
本に囲まれて育った幼少期
王谷晶さんは1981年、東京で生まれ、栃木県で育ちました。
両親が若い頃に小さな書店を営んでいたため、家には書店並みの蔵書があり、本にあふれた環境で成長しました。
幼少期から文字を覚えるのが早く、学齢期前にはすでに『星の王子さま』を読破していたといいます。
小学校にはほとんど通わず、家庭で本を読み続ける日々を送りました。
この独特の環境が、後の文学的な土壌を形成したことは間違いありません。
影響を受けた作品と多彩な読書体験
児童文学では『大草原の小さな家』『長くつ下のピッピ』『ムギと王さま』などを愛読し、自由で自立したキャラクターたちに強く影響を受けました。
また、祖父が推理小説を好んでいたことから赤川次郎や江戸川乱歩を手に取り、同時に筒井康隆の奇想的な物語にも親しみました。
中学生になると、より難解な文学に挑戦し、島田荘司『占星術殺人事件』で本格ミステリーの世界に没頭。
さらに倉橋由美子の実験的な文学、高村薫の重厚な社会派ミステリーなど、大人向けの作品を吸収していきました。
こうした幅広い読書体験は、後の作品にみられる「ジャンルを横断する語り口」の礎となっています。
作家活動への道のり
大学卒業後はゲーム会社に就職し、シナリオライターとして経験を積みました。
ファンタジーやアドベンチャーのストーリーづくりを通じて、対話のテンポやキャラクター描写を磨いたことが、小説の文体にも影響を与えています。
その後、文筆活動に専念するようになり、2012年に小説家としてデビュー。
2018年には短篇集『完璧じゃない、あたしたち』を刊行し、女性同士の関係性や生きづらさを等身大に描いたことで注目を集めました。さらに2020年に発表した長篇『ババヤガの夜』は、日本推理作家協会賞の候補となり、国内外で高い評価を獲得しました。
代表作『ババヤガの夜』とその評価
『ババヤガの夜』は、バイオレンス要素と人間関係の深い描写が融合した異色の物語です。作者自身は「ミステリーを書くつもりはなかった」と語っていますが、結果的に叙述の巧みさが国際的にも評価され、英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門を受賞。日本人作家として初めての快挙となりました。
王谷晶という人物像
王谷晶さんは、自らをレズビアンであると公表している数少ない日本人作家のひとりです。その背景には、「言わなければ存在しないことにされる」という危機感がありました。小説では「女性同士の関係性」を自然に描き出し、恋愛にとどまらず、友情や対立、複雑な感情をリアルに表現しています。
彼女の作品には、固定化された女性像は登場しません。その理由は、幼少期から本の中で多様な生き方に触れ、また自らのアイデンティティを見つめ直す中で、「一人ひとりが違っていていい」という確信を育んできたからです。
今後は、70代の女性が主人公の新作など、既存の価値観を揺さぶる物語に挑戦する予定とされています。
王谷晶の快挙と注目ポイント
王谷晶さん、サム・ベットさんのダガー賞翻訳部門賞受賞記念対談を拝聴しました。紀伊國屋ホール満員!王谷さんの「叙述トリックはトリックなのか」問題や、サムさんの名前をめぐる諸問題への解決の奥義など、小説のファンも翻訳関係者もしびれるお話ばかり。序盤からの二カ国後朗読も最高でした✨ pic.twitter.com/fHU1okyoed
— 🕊️🍋鴻巣友季子(『小説、この小さきもの』) (@yukikonosu) August 15, 2025
王谷晶さんの代表作『ババヤガの夜』は、2020年に発表された作品で、鮮烈なバイオレンス描写と同時に、女性同士の親密な関係を丁寧に描いています。
この小説の英訳版がイギリスの「ダガー賞」翻訳小説部門にノミネートされ、見事に受賞しました。日本人作家としては初の快挙です。
興味深いのは、作者自身が「ミステリーを書いたつもりはなかった」と語っている点です。
彼女にとっては人物の人生や関係性を描くことが中心であり、その表現方法が結果的に「叙述トリック」として評価されたのです。
国際的に評価された理由は、ジェンダーや性愛をめぐる普遍的なテーマを、濃密な人間関係と独自の物語構成で描ききった点にあります。
これは、日本文学の可能性を新たに示す出来事となりました。
王谷晶の今後の展望
王谷晶さんは、すでに次回作の構想に取り組んでいます。
その一つが「70代のおばあちゃんが大活躍する長編」です。
従来の「年寄り像」を更新し、自由でエネルギッシュな高齢者を描こうとしています。
また、LGBTQを公表して活動する作家としての存在感も大きいです。
ただし本人は「当事者であることに固執するつもりはない」と語っています。
当事者だからこそ声をあげられる一方で、そこに縛られると視野が狭まるため、誰もが自由に描いていいという立場を示しています。
この柔軟な姿勢は、彼女の作品が持つ普遍性と結びつき、より多くの人に届く可能性を広げています。
まとめ
王谷晶さんの性別は「女性」であり、また「レズビアン」であることを自ら公表しています。
プロフィールをたどると、ゲームシナリオライターから作家へと転身し、多様でリアルな女性像を描き続けてきたことがわかります。
『ババヤガの夜』がダガー賞を受賞したことは、日本文学の存在感を世界に広める大きな出来事となりました。
今後は、新しい物語に挑みながら、LGBTQを公表する作家として社会に多様な視点を提示していくでしょう。
王谷晶さんの作品に触れることは、固定的な「女性像」から解放され、文学が持つ自由な力を感じる体験につながるはずです。